歯並びについて:開咬編
歯並びについて:八重歯に引き続き、今回は「開咬(かいこう)」についてお話しさせていただきます。
開咬(かいこう)とは
上の画像のように、上下の前歯が噛まずに、奥歯だけ噛んでいる状態のことを「開咬(かいこう)」と言います。「オープンバイト」とも呼ばれます。開咬は前歯が噛みませんので、臼歯(奥歯)の負担が大きくなります。その負担は、臼歯だけでなく、顎関節にも影響する場合もありますので、顎が痛い、口が開けづらいという症状を訴える方もいらしゃいます。
前歯が噛んでいないため、臼歯(奥歯)の負担が大きくなります。
症例情報:
【患者】 10代女性
【主訴】 前歯で噛めない
【診断】 叢生を伴う開咬合
【抜歯の有無】 非抜歯
【治療期間】1年9ヶ月 通院回数14回
【治療内容】親知らずを抜歯した後、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)を使用して主訴である叢生および過蓋咬合の改善を行いました。
【費用】88万(税込)
【リスク】矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがあります。
矯正中は矯正歯科装置が歯の表面についているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病が生じるリスクがあります。
歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
矯正歯科治療は公的健康保健の適応外の自費治療(自由診療)となります。
舌癖(ぜつへき)とは
開咬は舌癖(ぜつへき)といわれる舌の癖とも密接に関係していることが多く、不正咬合の中でも治療が難しく、また矯正治療後の安定も難しいとされています。舌癖の説明の前に正しい嚥下の方法をお伝えさせていただきます。
正しい嚥下とは「スポット」と呼ばれる位置に舌尖が触れており、その位置で嚥下(飲み込み)が行われることです。スポットとは、ここです。
赤丸のところです。
上の歯のさらに後ろになります。「ラ」と発声する際に舌尖が上あご(口蓋)に触れますが、その位置がスポットになります。
舌癖とは、スポットに舌尖が当たらず、上下の歯の真ん中に舌尖が当たり、嚥下の際に前に飛び出すことで上下の歯を後ろから押してしまう飲み込みの癖です。人は1日2000回嚥下を行うと言われています。2000回押され続けられるので、結果として前歯が噛まなくなってしまい開咬となります。
嚥下は無意識に行っているのもあるため、確実に正しい嚥下を行い続けるということが困難です。なので矯正治療術後の安定も難しいとされています。また舌癖の方は、滑舌が悪かったり(それを芸にされている方もいらっしゃいますが・・・)、食事中にこぼれやすかったりという特徴もあります。
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン完成物薬機法対象外)における、開咬の治療法とは
マウスピース型矯正装置で開咬の矯正治療を行う場合、以下のような特長があります。
- マウスピース型矯正装置が奥歯の噛み合わせの面を覆うので、咬む力による圧下力(奥歯を沈みこませる力)が働く
- マウスピース型矯正装置が歯列全体を覆うことで舌の癖などの機能異常による歯ならびへの悪影響が軽減される。
- マウスピース矯正では前歯は唇側(外側)よりも舌側(内側)に傾斜しやすい
- 移動させたい歯と移動させたくない歯を区別することが可能。
- 治療をマウスピースで行っているので保定もマウスピースを使っていただきやすい。
患者様のお口の状態によって、歯を抜かないで治療を行えることもありますし、開咬の程度が大きい場合は、やむを得ず抜歯処置を行った上で開咬の治療を行うことがあります。
詳しくは、初回カウンセリングにお越しいただき、お口の中を拝見してお話ができたらと思います。
当院は初回カウンセリングを受け付けております。お電話、オンライン予約、LINEからお好きなご予約方法をお選びください。