歯並びについて:八重歯編
矯正相談に来られる方の歯並びについてお話しさせていただきます。今回は「八重歯」についてです。
八重歯とは
この画像のように上に、かつ外に飛び出てしまっている、真ん中から数えて3番目の歯、犬歯のことを「八重歯」と言います。専門歯科用語では、「低位唇側転位」と言います。噛むところより上にあるのですが、「低位」となります。噛んでいるところが基準となりますので低いところにある、ということになります。
症例情報:
【患者】 10代女性
【主訴】 八重歯が気になる
【診断】 叢生
【抜歯の有無】 非抜歯
【治療期間】2年2ヶ月 通院回数17回
【治療内容】親知らずを抜歯した後、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)を使用して主訴である叢生の改善を行いました。
【費用】88万(税込)
【リスク】矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがあります。
矯正中は矯正歯科装置が歯の表面についているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病が生じるリスクがあります。
歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
矯正歯科治療は公的健康保健の適応外の自費治療(自由診療)となります。
何故八重歯ができるのか
1番の原因は、歯が生えるためのスペースが足りないということです。犬歯が生えるまでに、犬歯の前後の歯が永久歯になってしまっていて、スペースを先に使ってしまい、上に外に追いやられてしまった結果、八重歯になってしまいます。
八重歯は可愛い?
一時期、八重歯が可愛いと言われていた(いる?)ようです。実際往年のアイドルの方にも八重歯の方はいらっしゃいましたし、「付け八重歯」なるものもありました(今もある?)し、八重歯の女性を集めた本などもあります。八重歯の女性は小悪魔的に見えるようです。
歯科医師として八重歯の評価は・・・八重歯は可愛いとは言い難いでしょう。歯磨きがしにくそうだな、口唇を傷つけないかな、と可愛いより心配することが多いです。
ちなみに海外では(前回から海外の話が多いですが)、ドラキュラ、魔女、狼男・・・あまりいいイメージはないようです。中国では「虎の歯」と呼ばれ、「幸福が逃げる」または「親や配偶者と離別を早める」などの迷信があり、八重歯に関しては厳しいイメージを持たれています。八重歯にポジティブなのは日本独特の評価のようです。
八重歯(犬歯)の役割とは
犬歯は、他の歯よりも歯根が太くて長い歯です。その分しっかりとかむ力を受け止める事ができます。もう一つ、犬歯は尖っていて、かむ力を上手に受け流すこともできます。このような力を受け止めてかつ受け流すことができる歯は、犬歯だけです。このように犬歯は大事な歯なので、しっかり機能してもらわないといけない歯なのです。
マウスピース型矯正装置による矯正治療における、八重歯の治療法
ではどのように治療をするのか。マウスピース型矯正装置による矯正治療で得意な遠心移動(歯を後ろに送る)を治療に組み込んで、八重歯のスペースを作って歯列に入れるという方法があります。患者様一人一人骨格も歯の大きさも顎の大きさも異なりますので、抜歯を行うことでスペースを作り並べるという方法を選択することもあります。
実際にお口の中を相談で拝見させていただいて、どのような治療法があるのかご提示させていただけたらと思います。矯正相談はで行っておりますので、お気軽にお越しください。