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歯列矯正の基礎知識

インビザライン矯正では、一日20時間以上マウスピースを装着することが推奨されています。矯正治療は一般的に1~2年間ほどかかるため「長時間マウスピースをはめていると虫歯になってしまうのでは?」と心配になるのではないでしょうか?今回はインビザライン矯正中に虫歯にならないための注意点と、もし虫歯になってしまった場合の対処法についてお話しします。

【目次】
1、インビザラインで虫歯になることがあるのか
2、矯正中にならないための対処法
3、矯正中に虫歯になってしまったら?
4、矯正前に虫歯が見つかってしまったら?
5、リテーナー装着時に虫歯になってしまったら?
6、虫歯について疑問があるなら歯科医に相談を

インビザラインで虫歯になることがあるのか

マウスピースを長時間装着することで、お口のなかにどんな変化が起こるかというと、

  • マウスピースを長時間はめていることで口の中が乾燥しやすくなる
  • 歯についた汚れを洗い流してくれる唾液が歯に届きにくく、自浄効果が薄れる

といったことが考えられます。

ただし、だからといってすぐに虫歯になるわけではありません。こういった注意点があることを理解して、いつもより水分補給を心がけたり、食後の歯磨きやマウスピースのお手入れを丁寧にすることで虫歯リスクはコントロールすることができます。

一番良くないのは、虫歯になりやすい状況のまま放置してしまうことです。

インビザラインは自分で装置を取り外せるので、外してしまえばいつもと同じようにお口の中のケアを行うことができるのです。


これに対してワイヤー矯正では、歯の表面に装置を接着・固定します。そのため、

  • 装置の隙間に物が挟まる
  • 装置が邪魔で歯磨きがしにくい

など、固定式のであるためにブラッシングやお手入れが複雑になり、結果的にお口の中が虫歯になりやすくなる可能性があります。

毎日毎日、歯間ブラシやフロス、丁寧な歯磨きまで完璧にお手入れができれば良いのですが、忙しくなかなかできない日もあることでしょう。

そんなときでも、インビザラインであればお手入れの負担が少なく、虫歯が心配な方にもお勧めできる治療方法といえるのではないでしょうか。

矯正中にならないための対処法

矯正治療中に虫歯になった場合、矯正治療を一時中断して虫歯治療を優先する場合があります。またインビザラインでは、虫歯を削った後の歯型に合わせてマウスピースを再作成することもあるため、矯正をスムーズに進めるためには、虫歯にならないように日頃から意識することがとても大切です。

矯正治療中に行える虫歯の予防方法をいくつかご紹介していきます。

しっかりと歯磨きをする

矯正治療をしているかどうかに関わらず、虫歯予防にとって重要なのはやはり歯磨きです。ただ磨くだけではなく、少しポイントを押さえるだけで得られる効果はだいぶ変わります。

●使用する歯磨き粉は「フッ素入り」のものを選びましょう
虫歯は、脱灰(口の中に残った食べカスが原因で発生した歯垢が酸を作り出し、その酸が歯の表面のリンやカルシウムを溶かすこと)から始まります。脱灰した状態を長期間放置すると虫歯は進行してしまうのですが、これを元に戻すことができれば虫歯にはなりません。この元に戻すこと(唾液中のリンやカルシウムが歯の表面に戻ること)を再石灰化と言います。

実はお口の中では、常にこの脱灰と再石灰化が繰り返されています。うまくバランスが取れていれば問題ありませんが、脱灰の方が優位になってしまうと虫歯が進行してしまう、というわけです。

そうならないようにするために重要なのが「フッ素」です。フッ素には再石灰化を促進する効果があり、虫歯の予防に繋がりますので日頃の歯磨きに取り入れられることをお勧めいたします。

今は高濃度のフッ素が含まれている歯磨き剤が市販されていますので、歯科医院などでわざわざ注文する必要もありません。ただし、六歳未満のお子様の場合は誤飲を考慮して濃度1000ppm以下のものを選んだ方が良い為、ご心配な方は歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。

●歯ブラシ以外の清掃器具を活用しましょう
歯磨きの際に、歯ブラシと合わせて「フロス」と「歯間ブラシ」を使用されることをお勧めいたします。

フロスも歯間ブラシも歯と歯の間を清掃するための器具で、普通の歯ブラシだけでは落とせない汚れを落とすことができます。

しかしただ使えば良いわけではありません。たとえば、歯間ブラシは歯に対して垂直に入れて汚れをかき出すように動かす、フロスは歯間ブラシが入らない場所に使用して歯の表面に擦り付けるように動かす、など、簡単なことですが知っているだけで得られる効果は格段に違います。

せっかく使用するなら最大限の効果が得られるようにしたいですよね。そのためにも、まずは歯科医院にご相談ください。フロスと歯間ブラシどちらを使えば良いのか、適切なサイズ、正しい使い方など、あなたのお口に合った方法をお話させていただきます。

飲食時はインビザラインを外す

マウスピースをはめて生活する上で注意が必要なのが、飲食時です。
特に飲み物を飲む場合は、マウスピースのことなど気にせず飲んでしまう方が多く見受けられます。

しかし、マウスピースをはめたまま飲み物を飲むと、歯とマウスピースの間に水分が入り込むことになり、それがスポーツ飲料などの甘い飲み物なら砂糖水の中に歯を浸けているようなもの。長時間そのままでいると、お口の中を虫歯になりやすい危険な状態に晒していることになります。
取り外すことを面倒だと思ってしまいがちですが、日々のちょっとした積み重ねによって虫歯は防ぐことができます。飲み物を飲む時にはマウスピースを外すという習慣をつけましょう。

マウスピースをしっかりと洗浄する

毎日気持ち良く使用するためにも、一日の終わりにはマウスピースをしっかりと洗浄してください。

指や手で優しくこすり、もし汚れが気になる場合は柔らかめの歯ブラシやスポンジなどを使用しましょう。週に一度、専用の洗浄剤を使ってつけ置き洗いをするとより効果的です。

歯磨き粉は含まれている研磨剤で傷がついてしまう恐れがあるため使用しないようにしてください。また、お湯を使用すると変形してしまうかもしれないので、水で洗うようにしましょう。

こまめに水分補給をする

マウスピースを装着していると、普段よりもお口の中が乾燥しやすいです。

虫歯菌は乾燥を好むため、こまめに水分補給をして口の中を乾燥させないようにすることも虫歯予防に繋がります。水分補給をする時は、なるべく糖分が入っていないものを選ぶようにしましょう。

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矯正中に虫歯になってしまったら?

どんなに気をつけていても虫歯になってしまうこともあります。ここからは、矯正治療中に虫歯が見つかった時のことをお話していきます。

マウスピースは取り外し可能ですので、矯正治療中でも虫歯の治療自体は行うことができます。しかし、すべての虫歯がすぐに完治できるわけではありません。

虫歯は治療をするのに歯を削る必要があります。削った部分には何らかの方法で詰め物をします。そうすると、虫歯の大きさによっては元の歯と形が変わり、作成済みのマウスピースがはまらなくなってしまうかもしれないのです。

そのため、虫歯の大きさや場所によって

矯正治療と並行して虫歯治療を行なう(矯正治療に影響なし)
応急処置だけしておいて矯正治療が終わったあとに虫歯の治療を行なう
矯正治療を中断して虫歯を完治させ、マウスピースを再作成して矯正を再開する

などのように対応が変わってきます。

ですから、日頃から歯の状態をこまめにチェックしていただくことと、数ヶ月に一回は定期健診やクリーニングでお口全体のチェックをしていただくこともお勧めしています。

矯正前に虫歯が見つかってしまったら?

矯正治療を始める前に虫歯が見つかったら、先に虫歯の治療を行います。先述したとおり、矯正治療が始まると虫歯の大きさによってはすぐに完治させられないケースもあるからです。

それに、虫歯はなるべく早く治療した方が簡単な治療ですみます。放置して進行してしまうと、回数や治療費などの負担が増えることにもなりかねません。

不安材料を残したままにするよりも、虫歯を完治させてから矯正治療を開始した方が皆様にも安心していただけるでしょう。

リテーナー装着時に虫歯になってしまったら?

歯を動かす治療が終了したら、歯が元の位置に戻るのを防ぐために「リテーナー」という装置を使用して後戻りを防止します。歯の位置を定着させるためにはこの「保定期間」の過ごし方が非常に重要です。

保定期間に虫歯が見つかった場合も、対応の仕方は矯正治療中と同じです。リテーナーをはめることに支障がなければすぐに完治させることができますし、支障が出そうなら応急処置やリテーナー再作成といった方法を取らなければいけないかもしれません。

そのため、保定期間に入っても、矯正治療中と同じように虫歯予防を心がけましょう。

虫歯について疑問があるなら歯科医に相談を

一番良くないのは、気になることを放置することです。虫歯に対する疑問、虫歯かもしれないという不安などを抱えたまま矯正治療を開始することだけは避けましょう。

当院では矯正治療開始前に無料カウンセリングを行なっておりますので、何か気になることがあるようでしたらお気軽にご相談ください。治療の必要性や矯正治療との兼ね合いなどを含め、ご不安が解消されるようにお話させていただきます。

オンライン診療やメールによる無料相談でも対応可能ですので、ご希望に合わせてご利用いただけたら幸いです。