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歯列矯正の基礎知識

インビザラインの効果はいつから実感できる?矯正治療を成功させるには?


1999年にアメリカのアライン・テクノロジー社で販売が開始されたマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)。ワイヤー矯正に比べて、比較的新しい治療方法なので、本当に効果があるのか不安に思う方もいるのではないでしょうか。しかし、この治療方法はワイヤーと比べて目立ちにくく、取り外しも可能なことから、2020年1月現在、世界100カ国以上、800万人以上(同社調べ)の方が治療を受けている治療方法です。今回はそんなマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)治療の仕組みや、効果が実感できるタイミング、治療を成功させるコツについてご説明します。

【目次】
1.マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の特徴と効果
  ・マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の効果はいつから実感できる?
2.マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)で歯が動く仕組み
3.マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の矯正治療を成功させるには

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の特徴と効果

歯列矯正というと、歯に銀色の金具を取り付ける「ブラケット(ワイヤー)矯正」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ブラケット矯正は口を開けた時に目立ちやすく気にされる方も多くいらっしゃいましたが、透明なマウスピースを使用した矯正治療では、治療中の見た目や装置の使用感などに違いがあります。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)では、以下のようなメリットが挙げられます。

・透明なマウスピースを装着するため目立たない。
・食事や歯磨きの際には取り外せる
・矯正器具が金属ではなく、柔らかいプラスチックでできているため、口や唇の粘膜を傷つけることなく、痛みも少ない。

このような多くのメリットがあります。

一方で、従来のブラケット矯正よりも肝心の効果が弱いのではないかと考える方もいらっしゃるようです。しかし、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は、従来のブラケット矯正以上のメリットを持ち合わせ、高い治療効果が実感できます。次の段落で、その効果がいつ頃から実感できるのか、見ていきます。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の効果はいつから実感できる?

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)でも、ワイヤーによるブラケット矯正でも、長期にわたる治療が必要なため、効果がいつから実感できるのか気にする方も多いようです。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)による治療では、歯の移動に合わせて作られた複数のマウスピースを定期的に交換していきます。一つひとつ、若干、形が異なるため、マウスピースを取り替えるごとに、歯が移動していることを実感できるでしょう。

ただし、歯列矯正によって歯が動く距離は、1ヵ月でわずか0.5mmほどといわれています。そのため、例えば「歯と歯の間に隙間があったのが埋まってきた」というような、目に見える変化を感じられるまでの期間には個人差があります。すぐには実感が得られなくても、治療前と後の歯並び画像を見比べることで、明らかに改善を感じることができます。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)で歯が動く仕組み

そもそも、マウスピースによってなぜ歯が動くのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

人間の歯は、それぞれが歯槽骨という骨で支えられていて、歯と歯槽骨の間には「歯根膜」という繊維が存在します。通常、歯根膜は一定の間隔を保っているのですが、マウスピースによって歯に力が加えられると歯槽骨の中で歯が動き、それに合わせるように歯根膜も引っ張られます。

歯根膜は、このバランスが崩れた状態を修正しようと細胞の力を借ります。歯と歯根膜の間隔が窮屈になった側には骨を溶かして隙間を作り、間隔が広がった側には、骨を作って間隔を埋める…こうして歯は移動したまま、歯と歯根膜の距離も元通りになります。矯正治療では、骨を溶かしたり作ったりする、私たちの体に備わっている仕組みを利用して歯を移動させるのです。

しかしながら、歯にかける力は強ければいいというわけではなく適切な力があります。マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)では、マウスピース1枚あたり0.25mmというわずかな移動量で設計していくことで、力をかけすぎたり力が弱くなりすぎたりすることがありません。常に適切な力をコントロールすることができるのがインビザラインの強みの一つです。

また事前にシミュレーションを行って治療を進められるため、後から無駄な微調整を行う必要がありません。これにより、ワイヤーとマウスピースで感じる痛みや違和感が違うのにも関わらず、トータルの治療期間はほとんど変わりません。症例によってはマウスピースの方が早くなる場合もあるほどです。

目標となる歯の位置まで、回り道をせずに歯を動かしていけるのも、この治療方法の大きなメリットの一つではないでしょうか。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の矯正治療を成功させるには

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の大きな特徴の一つとして、患者様自身で矯正装置(マウスピース)を管理することがあります。、そのため、患者様ご本人がきちんと医師の指示を守ることも、治療成功の秘訣となります。

インビザラインは、担当医の指示のもと、自宅で定期的にマウスピースを交換します。ただ交換するだけでなく、装着時間も重要です。決められた装着時間を守らないと、歯を動かすのに必要な力がかかりません。インビザラインは、患者様ご自身で自由に取り外しが可能ですが、食事や歯磨きの際に外したまま放置してしまうと、決められた装着時間を下回ってしまうことがあります。

装着時間が短くなると、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)治療の効果に影響するだけでなく、マウスピースの形と実際の歯並びが一致しなくなる原因にもなります。外す時間は最小限にしていただくのが、治療成功のポイントだといえるでしょう。

もう一つのポイントは、マウスピースの装着に慣れていただく必要があるということです。マウスピースを指ではめた後、よりフィット感を高めるために、「チューイー」というチューブを噛んでいただく場合があります。装着時にアライナーチューイーを使用した場合と使用しなかった場合ではわずかな差が生まれ、そのわずかな差が積み重なると、最終的な治療の結果を左右する可能性がありますので、担当医の指示に従っていただく必要があります。

最後にもう一つ。これはどんな矯正治療にもいえることですが、通院頻度を守り、経過を確認しながら治療することが大切です。とはいえ、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は数か月に1度程度の通院回数ですみ、負担が少ないのも嬉しいところです。

当ブログでは、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)について、皆様により深く知っていただきたいと考えています。マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)について疑問や不安がありましたら、ぜひお気軽に当院にご相談ください。